人間関係に悩む人も多い
実は多くの人が悩んでいる
介護職が理想とのギャップを感じるポイントとして、人間関係の悩みを挙げる人が多いです公益財団法人介護労働安定センターが実施した介護労働実態調査(平成28年度)によると、介護職員が離職する理由の23.9%は人間関係の悩みであることがわかりました。これは介護業界の離職理由として最も多い数字です。
では、どうして人間関係の悩みが発生するのでしょうか。介護施設は経験やスキルの異なる介護職員、看護師、利用者とその家族など、立場や状況の異なる人間が頻繁に交わる場所です。立場の異なる人が交流する場では、相手の立場を理解して行動することが大切です。しかし、すべての人がそれを理解しているわけではなく、そのために余計な人間関係の摩擦がおきてしまいます。もちろん、解決ができない問題というわけではありません。良好な人間関係の構築に積極的に取り組んでいる施設があるのも事実です。
職員同士の関係
介護施設は人間関係が閉鎖的になりやすいという特徴があります。毎日同じ場所で同じ職員同士が顔を合わせるので、職場に苦手な人がいると毎日ストレスがたまっていくことになります。これは他の仕事でも言えることかもしれませんが、介護施設の場合はペアで当番にあたることもあるため特にストレスがたまりやすい環境であると言えます。
とはいえ仕事を放りだすわけにはいきませんので、こうなってしまった場合には苦手な相手を「仕事だけの付き合い」と割り切ることが必要です。関係を良くしようとあえて相手について深く知る方法もあるかもしれませんが、余計に関係が悪化する危険性もあります。そのため、一定の距離を保ちながらコミュニケーションを取り、プライベートを充実させてストレスを発散するほうが安全です。人間関係のつながりが職場だけしかないとどんどん追い込まれてしまいますので、職場以外の人間関係を充実させましょう。
利用者との関係
職員同士ではなく、利用者やその家族との人間関係に悩む人も多いです。特に、認知症高齢者からの暴力やセクハラに悩む介護職員は多いようです。認知症の高齢者は感情のコントロールが難しくなっているので、今まで理性で押さえていた行動に歯止めがきかなくなってしまいます。「介助中に手をかまれた」「突然身体を触られた」といった被害が数多く報告されています。
こういった暴力行為などを防ぐためには、常に先手のコミュニケーションを意識することが大切です。例えば衣類の着替えの際に、いつものことだからとなにも説明せずに始めてしまうと高齢者は身の危険を感じ防衛行動に出ます。そのため必ず、「出かける時間なので着替えをしましょう」などと先手を打って声をかけ、誠意を尽くして対応することが大切です。